こども家庭庁の子ども・子育て支援制度における継続的な見える化に関する専門家会議の内容について、今年度より意識していただきたいことをお伝えいたします。
この会議で話し合われた内容は、新たな継続的な見える化の制度における報告・公表の在り方についてです。
この制度の施行期日は令和7年4月1日ですが、報告対象期事業年度は、令和6年4月1日以降に始まる事業年度について報告対象とされています。
報告する経営情報等は下記の通りです。
- ①人員配置
- 基準上の配置と実際の配置、職員の属性情報等
(給付、監査等で通常把握されている情報) - ②職員給与
- 賃金水準、処遇改善状況、職員の属性情報等
(処遇改善等加算の実績報告書を活用) - ③収支の状況
- 収入・支出の科目別の金額、人件費関連科目の内訳等
上記について、公表の仕方も2つの区分に分かれており公表が想定される主な事項は下記となります。
【グルーピングした集計・分析結果の公表】
- 職員一人当たりの平均給与/年
- 給与総額に占める職種間の配分割合
- 基準上の配置と実際の配置の比率
- 配置人員の構成比(職種別、属性別等)
- 総収入に占める主要な支出区分の割合(人件費、収支差額等)
【個別の施設・事業者単位での公表】
- ①モデル給与
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- 保育士等の幼児教育・保育に直接従事する常勤職員は必須記載(経験年数、役職等も明示)し、その他職員は任意記載
- 基本給、手当、賞与等や月収と年収の目安を明示
- 給与決定方法、賞与支給基準、時間外手当・退職手当の取扱、福利厚生、その他職員の処遇に関する事項は任意記載
- ②人件費比率
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- 総収入に占める人件費の割合を明示
- 「狭義の人件費」については必須記載
(会計基準上の人件費、派遣職員経費、法定福利費の合計) - 「広義の人件費」については任意記載
(「狭義の人件費」の他、福利厚生費、研修研究費、職員採用経費 その他「広義の人件費」と判断するものの合計)
- ③職員配置状況
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- 基準上の配置と実際の配置の比率を明示。
(職員配置に係る加算措置や地方単独補助の有無等付記。)
- 基準上の配置と実際の配置の比率を明示。
グルーピング集計・分析結果の公表は、公定価格の改善をはじめとする政策検討に活用したり、施設類型、法人形態、地域、規模等の属性に応じてグルーピングして集計・分析することで、公平・公正な比較・検証を実施、その他平均値や中央値を明らかにすることが目的です。
一方、個別の施設・事業者単位での情報公表は、保護者による施設・事業者の選択や、保育士等の求職者の職場選択やキャリアの検討等を支援し、そして、施設・事業者や従事者の権利利益を保護しつつ、幼児教育・保育の質の向上や保育士等の勤務環境の改善等の前向きな取組が適正に情報利用者に伝わることが目指されており、これらの公表には、子ども・子育て支援情報公表システムである「ここdeサーチ」が活用されるようです。
あらゆる、施設類型、法人形態、規模にかかわらず、施設の給与、人員配置、収支の状況を比較されることになりますので、保護者、保育士等求職者に選ばれる園になるための経営努力が求められます。
そしてそれは、既に今年度(令和6年度)の数字から反映されるということを意識してください。
保育経営におけるお困りごとがございましたら、日本クレアス税理士法人 大阪本部までお気軽にお問合せください。