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会計税務令和6年診療報酬改定 ~賃上げ・基本料等の引上げ~

2024.5.14

令和6年度の診療報酬改定においては、医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取り組みとして、ベースアップ評価料、初診再診料等の引上げなどの診療報酬が創設されました。そこで今回はその概要について解説いたします。

■ 全体像

医療従事者の賃上げに必要な診療報酬として創設されたものは下記2つです。

①ベースアップ評価料

病院、診療所、歯科診療所等に勤務する看護職員、その他の医療関係職種の賃上げのための特例的な対応として、+0.61%の改定

②初再診料や入院基本料等の引上げ

40歳未満の勤務医師、勤務歯科医師、事務職員等の賃上げに資する措置として、+0.28%程度の改定

・施設基準の届出変更

期限:2024年6月3日(月)必着 ※管轄によって若干異なる可能性があります。
賃金の改善を図る体制につき、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出ます。

・賃金引上げに係る計画書及び報告書の提出

こちらも地方厚生局に提出します。毎年6月に計画書、8月に報告書の提出が必要です。

対象者・条件 ~抜粋~

【ベースアップ評価料Ⅰ】

  • 令和6年度及び令和7年度において対象職員の賃金の改善を実施しなければなりません。(役員報酬を除く、定期昇給によるものを除く)
  • 対象職員は、主として医療に従事する職員(医師及び歯科医師を除く)です。専ら事務作業を行う者は含まれません。
    ※40歳未満の勤務医や受付、事務職員等の職員の賃金を実績に含めるためには、対象職員の基本給等を令和5年度と比較して、令和6年度に2.5%以上、令和7年度に4.5%以上引き上げた場合
  • 入院中以外の患者に初診、再診又は訪問診療を行った場合に、所定点数を算定できます。
  • 1日につき1回算定できます。

【Ⅱ】

  • ベースアップ評価料(Ⅱ)は、(Ⅰ)だけでは賃上げが不十分となる診療所への加算です。
    ※算定される点数と給与総額の対比や3ヶ月毎の算定等、要件が厳しくなります。

算定シミュレーションについて

ベースアップ評価料計算支援ツール(厚労省HP)を用いて、いくらの賃上げが可能かを試算し配分方法を検討しておく必要があります。

厚労省ベースアップ評価支援ツール

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352_00012.html

ベースアップ評価支援ツールの使い方

~算定の流れ~

① 対象職員の給与総額を入力します。

② 次に初診料等・再診料等の算定回数を入力します。

③ 賃金増率が1.2%に満たない歯科医院・クリニックについては、外来・在宅ベースアップ評価料Ⅱを算定できる可能性があります。※算定不可の場合は次へ

④ ベースアップ評価料によるひと月あたりの収入合計、年間の収入合計が算出されます。

■まとめ

  • 訪問診療の有無や初診料等の算定回数など様々な要因が絡みますので、歯科医院・クリニック毎に試算結果は異なります。
  • 実際のベースアップ評価料による収入金額はその月の患者数により変動いたします。
  • 措置法26条の適用を検討している歯科医院・クリニックは保険診療収入が増加する点に留意ください。

今回のベースアップ評価料に係る診療報酬増加分については、全額医療従事者の賃上げ部分にのみ充てられるものとなっており、施設基準の届出や計画書の作成・実績の報告等の煩雑な手続きを要しますので、適用を受ける場合には十分に検討いただく必要があります。

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