今回は閉院前に検討するべき事項やタイムスケジュールと合わせて概要をご案内します。
- 患者様の継続治療が可能
- 従業員の継続雇用が可能
- 原状回復に係る経費が不要となり売却代金を得られる
購入希望の買い手が現れるか、プレマッチングを行ってみる価値が医院にあるかもしれません。
事業承継の場合は、事業承継引継ぎ補助金※の利用ができる場合があります。弊法人にて申請が可能です。
※事業承継引継ぎ補助金とは(保険診療対象外)・・・個人事業主が事業承継を契機として新たな取り組みを行う事業等について経費の一部(自由診療のみに限る)を補助することにより事業承継による経済活性化を目的とした補助金です。
やむを得ず閉院をすることになった場合の必要な手続き・ご注意を解説します。
①クリニックを閉院するまでに始めるべき準備
借入やリース等の残金が残っていれば返済方法を検討しましょう。
個人事業主のクリニックの場合は、小規模企業共済の解約手当金等で補填できるか、あらかじめ借入残債の把握と返済方法のシミュレーションが必要です。
②原状回復について
賃貸物件の場合、明け渡し(原状回復)が必要となります。スケルトン状態への解体工事をして貸主に明け渡しをしなければなりません。施工業者に関しては貸主指定の場合もあります。
解約前に貸主に確認し、業者指定でない場合は2~3社から見積りを取ることをお勧めします。
機材の処分業者も合わせて選定しましょう。
③スタッフと患者への対応
雇用しているスタッフには、事前に告知する必要があります。退職金規定があれば、退職金の支払い、スタッフの退職に伴う社会保険手続きを所轄のハローワークや年金事務所へ手続き頂くことも重要です。
クリニックを閉院する前に患者へ閉院の予定日を知らせ、他院へ引き継ぐ(ご紹介する)ことが必要です。
患者からの未収金があれば回収を完了してください。
④閉院後の保存文書について
クリニックの閉院が完了しても、院長には引き続き各種記録保管の義務が課せられます。
レントゲンフィルムの保管義務は3年。カルテの保管義務は5年。エックス線装置等の測定結果記録や、放射線障害が発生するおそれのある場所の測定結果記録についても保管義務は5年です。
ただし、民法に基づき病院と患者とのトラブルの損害賠償請求は10年間有効です。トラブル時の対策のために、保管義務期間より長期で保管するケースもあります。
保管場所を確保し、閉院に伴う重要書類の他カルテなどの診療記録は厳重に保管するよう心がけましょう。
⑤クリニック閉院にあたって各所への届出書類の確認
クリニック閉院後、遅滞なく届出を出さなくてはいけない書類が多くあります。
あらかじめ必要な書類を確認しましょう。タイムスケジュールの届出書類以外に必要な手続きは下記のとおりです。
該当するものがあれば、遅滞なく手続き出来るように準備ください。
⬛︎ 閉院時の届出書類(参考)
※2024年10月 修正加筆