私は消費税の免税事業者である個人医院の者ですが、2023年10月1日以後、インボイス制度が実 施されると、どのような影響が生じるのでしょうか。 |
売上の相手先によって影響がある場合とない場合があります。以下に詳しく説明します。 |
売上の相手先が以下の場合は、インボイス制度実施後も取引の影響は生じないものと考えられます。
【1】売上の相手先が患者様の場合
一般消費者である患者様に出す領収書等は現状通りで良く、インボイスを発行する必要はありません。
【2】売上の相手先が免税事業者の場合
免税事業者は消費税の申告を行いませんので、今まで通りの領収書で大丈夫です。
【3】売上の相手先が簡易課税制度を適用している事業者の場合
簡易課税制度を選択している事業者は、インボイスを保存しなくても仕入税額控除を行うことができるため、今まで通りの領収書で大丈夫です。
売上の相手先が課税事業者の場合はどのような影響があるでしょうか?
課税事業者に対し企業向け検診を行ったり、先生が建物・駐車場等の貸付を行っている場合は、消費税相当額の値引きを要求されるケースが出てくるかもしれません。
日本商工会議所が2021年6月に実施した実態調査によると、「課税事業者の2割が免税事業者との取引を見直す方向」と回答しています。すなわち、インボイス制度導入により、課税事業者から取引先を変更されるリスクが生じていると言えます。
一般消費者である患者様のみを対象に診療を行っている医院・クリニックであれば、インボイス制度の登録をする必要はないと言えます。
一方、課税事業者に対し企業向け検診を行っていたり、建物の貸付を行っている先生は多少影響が生じますので、検討が必要になってくるケースがあるでしょう。
インボイス制度の登録を受けると、課税事業者を選択したことになり消費税の申告・納税の義務が生じますので、慎重に検討する必要があります。