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会計税務賃上げ促進税制の活用について<Q&A>

2022.4.4

Question 2022年の税制改正では「賃上げ促進税制」を活用して最大40%の税額控除ができると聞きました。今までの「所得拡大税制」とどう違うのでしょうか。また、医院でよい活用方法があれば教えてください。
Answer 「賃上げ促進税制」は「所得拡大税制」より、控除額が上がる可能性があります。また、従業員へ教育訓練を行っていれば、10%控除の上乗せが適用できる場合があります。
※所得拡大税制の内容については、こちらをご参照ください。

「賃上げ促進税制」は「所得拡大税制」より、控除額が上がる可能性があります

個人事業主や法人(資本金1億円以下)の場合、今までの「所得拡大税制」では、
  1. 雇用者全体の給与等支給額が前年度比2.5%以上増加
  2. 教育訓練費が前年度比で10%以上増加
1、2の両要件を満たさないと、基本の15%控除に10%が上乗せされませんでした。「賃上げ促進税制」では、基 本の15%控除又は 1 の30%控除から更に 2 を満たすと、それぞれに10%控除が上乗せされることになりました。最大25%から40%に引き上げられる形になります。 ※令和4年2月17日時点の情報です。国会審議で租税特別措置法等が成立した後に制度内容が確定いたします。
【適用期間】
●個人事業主
令和5年度(令和6年3月申告分)、令和6年度(令和7年3月申告分)
●法人(資本金1億円以下)
令和4年4月1日~令和6年3月31日までの間に開始する各事業年度

従業員へ教育訓練を行っていれば、10%控除の上乗せが適用できる場合があります

賃上げ促進税制では、以前より追加条件が適用しやすくなっているため、必要条件を満たす場合は、活用を検討してみてはいかがでしょうか。教育訓練の対象は正社員、契約社員、パートアルバイト等の使用人です。当該法人の役員、個人事業主、それらの親族や雇用関係のない内定者等は対象から除かれます。前年が0円の場合は、教育訓練費が発生した段階で10%以上増加したとみなされます。今まで教育訓練費が少なかった医院にとっては、満たしやすい条件となっています。ただし、下記の通り教育訓練費の中でも対象外があるため注意が必要です。申告時は、取り組んだ教育訓練の詳細がわかる書類を添付して税務署へ提出します。
対象となる教育訓練費 対象とならない教育訓練費
  • 外部講師に支払った謝礼金、交通費、宿泊費
  • 外部の勉強会やセミナーの参加費、受講料
  • 教育訓練の一環として受ける検定料、受験料
  • 教育訓練のために賃借した施設や備品などの使用料
  • e-ラーニングの費用
  • 従業員が教育訓練のために用いる教科書、教材費
  • 講習期間中の従業員の給与
  • 自社の従業員を講師とした場合の講師料
  • 福利厚生を目的に呼んだ社外講師への謝礼金
  • 従業員の講習参加のための交通費や宿泊費、食事代
  • 自己啓発など職務に必要といえない教育訓練費
  • 独学用の教科書等

賃上げや教育訓練は、慎重に検討しましょう

所得税や法人税の納付額が大きく、医院の規模拡大を目指している先生にとっては、是非活用したい税制となりますが、税額控除のメリットだけではなく、賃上げをすると毎月のキャッシュアウトが大きくなり資金繰りに影響を与えるという面にも留意しましょう。特に賃金は、上げると特段の理由がない限り下げにくいと言えます。次号では、賃上げ促進税制を活用した税額のシミュレーション結果と、申告時の添付書類の書き方について掲載予定です。ご参考になれば幸いです。

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