同一労働同一賃金という言葉を目にすることが増えました。パート歯科衛生士でも正社員と同様に賞与を支給しないといけないのでしょうか。また、パートには資格手当を支給していないことは問題になるのでしょうか。 |
賞与や資格手当を「パートだから」という理由を支給しない運用は、同一労働同一賃金に抵触する可能性があります。 |
同一労働同一賃金とは
同じ職場において「正社員」と「パートタイム労働者」「有期雇用労働者」との間で、基本給や手当、賞与など、あらゆる待遇について不合理な差を設けることを禁止し、職務内容や責任の度合い当が全く等しければ同じ賃金を支払う必要があります。
少人数の個人医院では期間の定めのない無期雇用契約が多いですが、雇用期間を1年等定め、契約更新していく有期雇用契約もあります。勤務日数、勤務時間、仕事内容等が同じであれば雇用形態の違いだけで処遇に不合理な差を設けることはできません。有期雇用と無期雇用の差には注意が必要です。
スタッフへの賞与支給
同一労働同一賃金は、常勤正社員に賞与を支給するのであれば、パートにも同水準で支給しなさいという法律ではありません。何を基準として支給する賞与なのかを明確にし、格差を設ける理由が不合理でないかという点がポイントです。
(例1)勤務日数を基準に常勤に賞与を支給している
常勤歯科衛生士とパート歯科衛生士では一般的に勤務日数が異なる場合が多いと思います。勤務状況に基づき、常勤には賞与支給あり、パートには賞与支給なしという対応は可能です。ただし、常勤と同様に週5日勤務しているパートに支給していない場合は問題になる可能性があります。
(例2)歯科衛生士だから賞与を支給している
歯科衛生士、看護師、栄養士、歯科助手などの職種に基づき賞与を支給する場合は、パートの歯科衛生士にも賞与を支給する必要があります。
スタッフへの各種手当
歯科衛生士手当等の資格手当
雇用形態の違いにより、全く支給をしないとする事は法律違反を問われる可能性があります。 ただし、パートに対し資格手当を考慮した時給設定を行っていることを説明することができれば、必ずしも「資格手当」という名称で支給する必要はありません。
各種手当は「何に対し支給する手当なのか」を整理し、常勤正社員とパートの間において格差がある場合には、不合理でない理由をきちんと説明できるようにしましょう。