退職金制度があるとスタッフの求人で人が集まりやすく、定着率も良くなることがあると聞きましたが、退職金の原資はどのように確保すれば良いのでしょうか。医院になるべく負担がかからないような方法はありますか? |
中小企業退職金共済制度(中退共)は、国が運営しており掛金の一部を助成してくれるため、負担を抑えて制度の導入が可能です。 |
中小企業退職金共済制度の詳細は以下の通りです。(専従者加入には特別な条件がありますので、担当までご相談ください。)
中退共のメリット
- 掛金は全額経費となり、年払いも可能なので節税効果がある
- 掛金は月額一人5,000円~30,000円で、一般的な保険に比べ低額
- 新規加入後4か月目から1年間、国が掛金の半分を助成(従業員ごとに最高6万円)
- 月額18,000円以下の掛金を増額する場合、増額分について3分の1を1年間助成
- 従業員の過去勤務期間を通算して退職金・掛金を計算することが可能(10年限度)
- 退職時の一尾払いではなく毎月支払いへ負担を分散できる
中退共のメリット
- 院長は加入できないが、従業員は原則全員加入※短時間労働者の加入は任意
- 掛金の減額は難しい
- 従業員が加入後1年未満で退職した場合は支給なし
- 懲戒解雇でも支給される
措置法26条適用の医院
通算経費の措置法26条適用の医院ではメリットの1つである節税効果は期待できないことが多いため、何を目的に加入するのか注意が必要です。加入検討の際には事前に担当までご相談ください。
掛金シミュレーション
【1年目】 | (5,000円×3か月)+(2,500円×9か月)=37,500円/人 | 5人分 187,500円/年 |
【2年目】 | (2,500円×3か月)+(5,000円×9か月)=52,500円/人 | 5人分 262,500円/年 |
【3年目以降】 | 5,000円×12か月=60,000円/人 | 5人分 300,000円/年 |
支払われる退職金は、1年以上2年未満の場合は、掛金納付総額を下回る額になります。2年以上3年6か月で掛金相当額、3年7か月以上から掛金納付額を上回って支給されます。
まとめ
中退共制度は、1年間は国が助成してくれるため、制度導入時の負担が抑えられます。しかし、スタッフの出入りが多い医院は、掛金がそのまま掛け捨てになる、退職金が掛金以下になる等のリスクがあります。既に長く勤めているスタッフが多く、一時に退職金を支払う負担を軽減したい場合は、加入を検討されてよいかと思います。
節税目的の場合は、担当までご連絡いただければ納税シミュレーションも可能です。