スタッフが退職します。当院では就業規則で退職金についての記載はありませんが、長く働いてもらった貢献に感謝し退職金60万円(基本給2か月分)を支給したいと思います。退職金支給にあたり注意すべきことはありますか。【退職者 歯科衛生士 勤続年数11年】 |
退職金の制度がある場合は「適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項」を就業規則に規定しなければなりません。就業規則で定められていなくても退職金を支給することは可能ですが、従業員ごとに対応が異なることは避けてください。 |
医院スタッフの退職が決まったら
- 退職願を書いてもらう
- 「退職所得の受給に関する申告書」を提出してもらう
- 退職金にかかる所得税に注意する
退職金の税金
①退職金支給時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出している人については、退職所得の金額に応じた所得税等が源泉徴収されるため確定申告の必要はありません。
退職所得控除額の計算
勤続年数(=A) | 退職所得控除額 |
---|---|
20年以下 | 40万円×A (80万円に満たない場合には、80万円) |
20年超 | 800万円+70万円×(A-20年) |
(退職金(源泉徴収される前の金額)-退職所得控除)×1/2=退職所得の金額
控除額を上回る退職金に所得税と住民税が計算されます。
②「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合は、支給額に20.42%の所得税を徴収します。別途住民税も計算・納付の必要がありますので医院の手間が増えます。
退職者の計算
退職所得控除額・・・40万円×11年=440万円
①(60万円-440万円)×1/2=0・・・源泉徴収はありませんが源泉納付書に記載
②60万円×20.42%=122,520円・・・支給額から源泉徴収し、源泉納付書に記載して納付
市町村民税(6%)+道府県民税(4%)=6万円・・・各自治体へ納付
今回の場合、「退職所得の受給に関する申告書」を提出いただくことで、440万円までは源泉徴収されませんのでお考えになっている金額を支給ください。
退職金の原資として中小企業退職金共済制度を活用している医院もあります。ご興味がある方はホームページご参照ください。中小企業退職金共済事業本部 http://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/