logo-header
MENU

会計税務出資持分のある社団医療法人の相続税対策としてどのような方法がありますか?

2018.7.2

Question 出資持分のある社団医療法人の相続税対策としてどのような方法がありますか?
Answer 出資持分のない社団医療法人に移行する、出資持分の評価額を下げる、贈与税の非課税枠を用いて持分を贈与する方法などが考えられます。

◆出資持分のない社団医療法人に移行する

1つ目の方法として、出資持分のない社団医療法人に移行することが挙げられます。相続税の課税対象となる出資持分を放棄してしまえば、当然相続税を課税されることはなくなります。しかし、出資持分のない社団医療法人への移行については下記の問題点があります。

■ 出資持分の放棄にあたっては出資者全員の放棄が必要となること
■ 放棄がされた場合に、医療法人に贈与税が課税されること
■ 放棄を承諾しない出資者に対しては、出資持分に従った払い戻しが必要になること
■ 贈与税・出資持分の払い戻しに対する資金を医療法人が用意する必要があること

そこで厚生労働省は、出資持分のない社団医療法人への移行を促進するため、移行計画の認定を前提とした優遇税制度を設けており、移行計画の認定を受けた医療法人であれば、移行期間終了までは相続税の納税を猶予し、持分を放棄した場合には納税を免除する、または持分を全員が放棄した場合には医療法人に課税される贈与税を非課税とする等の措置をとっています。

◆出資持分の評価額を下げる

2つ目の方法として、出資持分の評価額を下げる方法が考えられます。役員ヘの退職金支給や、生命保険の加入等により、純資産額を圧縮して株価の評価額を下げる方法です。

◆贈与税の非課税枠を用いて持分を贈与する

①暦年課税
贈与税法において、受贈者一人につき年間110万円までの贈与については非課税となっています。その為、年間110万円ずつであれば、相続人に非課税で持分を移行することができます。ただし、110万円分の贈与を行うために毎年出資金の評価を行わなければならず、評価額算定のコストが必要になります。

②相続時精算課税制度
相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。
相続時精算課税制度は、贈与者ごとに制度の適用を選択でき、2,500万円までが非課税となります。(ただし前年以前に適用がある場合には適用後の残額までが非課税となります。)贈与額が2,500万円を超えた以降の金額については一律20%の贈与税が課税されます。
この制度を利用すれば、2,500万円という大きな非課税枠を利用して一度に出資持分の移行することが出来ますが、その反面、この制度を一旦利用してしまうと、その贈与者からの贈与については暦年課税に戻すことは出来なくなってします。また相続時精算課税を選択した場合には、贈与者の相続発生時に、相続、遺贈により取得した財産と相続時精算課税の適用を受けた財産とを合算した金額を基に相続税額が計算され、その相続税額から既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額を控除して納める相続税額が算出されます。
この際に相続財産と合算される財産の価額は、贈与時の価額とされていますので、相続時点の出資金の評価が贈与時の評価額よりも高ければ全体の納付納税額は少なくなりますし、逆に低ければ全体の納税額は多くなります。

医療法人の状況によって、適した方法が異なると思われますので、事業承継については、税理士や弁護士等専門家のアドバイスを基に前もって準備されることをお勧めいたします。

イメージ図

CONTACT

医療の経営に精通したプロフェッショナルが柔軟、迅速、確実にサポートいたします。

TEL

03-3593-3237

平日 8:30〜18:00

contactbox_map

〒100-6033 東京都千代田区霞が関3丁目2番5号 霞が関ビルディング33階