4月から従業員を採用して1ヶ月が経ちますが、患者様からのクレームも多く、対応に苦慮しています。入職間もなく、まだ試用期間中のため、すぐに辞めてもらうことは可能でしょうか? |
試用期間中であっても「解雇」にあたりますので、「合理的な理由」「社会通念上相当な理由」がない限り、解雇は出来ません。トラブルを防ぐためには、就業規則に本採用をしない具体的事由の記載を行っておくことと、改善の為医院が指導を繰り返し行った実績が求められます。医院を守る為にも、現状について問題点を両者で確認し、改善、指導を行っていくことがまずは必要になります。 |
■ 試用期間とは?
試用期間中の労動契約は、「解約権留保付労働契約」だと解されます。これは、契約締結と同時に雇用の効力が確定するものの、医院は契約の解約権を留保しており、試用期間中に当該従業員が不適格であると認めた場合は、それだけの理由で留保した解約権を行使し、契約を解約しうるという契約です。ですが、試用期間中の従業員を拘束して、他院への就職機会を制限させている状況にありますので、不適格とする「合理的な理由」がなければ、解約権の行使は難しいといえるでしょう。また解約権の行使も「解雇」にあたりますので、下記の「解雇のルール」が適用されます。
■ 解雇のルール
入職して14日以内で解雇する場合
→ 解雇予告や解雇予告手当の支払いは不要
入職して14日経過後の職員を解雇する場合
→ 30日前に解雇予告を行うか、30日分以上の平均賃金を解雇予告手当として支給する
■ 試用期間のルールを定める上で重要なポイント
本採用拒否の事由を定める上では、就業規則に、「能力の不足や適性の欠如などの理由から、本採用が適当ではないと医院が判断した場合に解雇する」のように具体的に記載しておくことです。また、本採用に移行する際にどのような能力が求められるか、または試用期間内に積むべき実績(例:出勤率)についても具体的に記載しておくとよいでしょう。また、採用時の説明で本採用が認められない場合があることを十分に説明しておくことが求められます。