2021年5月12日、デジタル改革関連法案が可決しました。いくつかの関連法案がありますが医療分野に関係するものとして、国家資格のマイナンバーを利用した情報連携・管理についてご紹介します。
マイナンバー連携により行政手続を効率化
デジタル改革関連法案の中で、今回ご紹介するのは「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」(以下、「本法律」)です。これは、マイナンバー法等の改正を視野に、マイナンバーを活用した情報連携の拡大等による行政手続きの効率化について【国家資格に関する事務等におけるマイナンバーの利用及び情報提供を可能とする】と定めており、令和6年の施行を目指すとされています。
対象となる31の国家資格
厚生労働省所管の社会保障関連の以下31の国家資格が、マイナンバーを利用したデジタル化による情報連携の対象となる予定です。
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、義肢装具士、言語聴覚士、臨床検査技師、臨床工学技士、診療放射線技師、歯科衛生士、歯科技工士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、救急救命士、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師、管理栄養士、栄養士、保育士、介護支援専門員、社会保険労務士
マイナンバーカードは利便性の向上へ
本法律では、デジタル社会の形成に関する施策の一環として、マイナンバーカードの利便性の抜本的向上も明言しており、具体的に以下のような項目を挙げています。
- 住所地市区町村が指定した郵便局において、公的個人認証サービスの電子証明書の発行・更新等を可能とする
- マイナンバーカード所持者について、電子証明書のスマートフォンへの搭載を可能とする
- マイナンバーカード所持者の転出届に関する情報を、転入地に事前通知する制度を設ける
今後期待される活用
医師、歯科医師、薬剤師、は2年に一度、管轄保健所へ届出提出することが義務付けられています。また、婚姻等により氏名変更、本籍変更があった場合には届出が義務義務付けられている資格がほとんどです。保健所等へ行って対応する必要がある届出もあります。
診療所開設、医療法人設立の際には医師免許証、歯科医師免許証、保険医登録票などの提出が必要です。保健所の原本証明付きでないと申請できない 都道府県もあります。
今後、マイナンバーと各資格が紐づくことで、上記のような手間を省くことができれば先生方にとってはマイナンバーがより身近な意味ある制度に変わってくるのかもしれません。
医療向け広報誌CLIENT5月号「マイナンバーカード保険証利用 運用先送りへ 」でご案内しましたが、マイナンバーカードの交付枚数率は上昇の一途を辿っています。加えて今回の法整備です。
まだ発展途上の制度という認識を持たれる方も多くいらっしゃいますが、マイナンバーカードは今後のデジタル社会にとっては不可欠なものになるのは間違いないでしょう。マイナンバーのご自身での取得や病院・診療所・クリニックでの活用について、今一度ご検討されてはいかがでしょうか。