2021年4月から中小企業に対しても同一労働同一賃金(不合理な待遇格差の禁止)がスタートしたことにより、クリニックにおいても有期雇用スタッフに対する給与など、待遇の見直しが求められています。また同一労働同一賃金への対応の一環として有期雇用スタッフを正規スタッフに転換したという声も聞きます。そこで、有期雇用スタッフから正規スタッフへの転換や正規スタッフとの共通の諸手当を支給した場合に活用できる助成金についてお伝えします。
キャリアアップ助成金
■正社員化コース
就業規則に規定した制度により、有期雇用スタッフを正規スタッフに転換した場合が対象となります。
支給額 570,000円(転換者1名あたり)
<主な助成金の要件>
- 事前に就業規則等に正規スタッフへの転換制度を設ける必要があります。
- 対象者は、転換前に6か月以上雇用した有期雇用スタッフです。
- 転換後6か月以上の期間継続して雇用し、転換後6か月分の賃金を支給することが求められます。
- 転換後6か月間の賃金を、転換前6か月間の賃金より6%以上増額することが必要です。
■諸手当制度等共通化コース
就業規則に規定することで、有期雇用スタッフに対して正規スタッフと共通の諸手当制度を設けた場合が対象になります。
支給額 380,000円(1事業所あたり)
支給の対象となるスタッフが2名以上いる場合は、対象となるスタッフ1名あたり15,000円を加算
共通化する手当が2つ以上ある場合は、諸手当1つあたり160,000円を加算
<主な助成金の要件>
- 有期雇用スタッフに対して、正規スタッフと共通の『賞与』、『家族手当』、『住宅手当』、『退職金』、『健康診断制度』のいずれかの制度を新たに設ける必要があります。
- 諸手当制度に基づき、6か月分の賃金を支給することが求められます。
- 『健康診断制度』の場合は、有期雇用スタッフを対象とする法定外の健康診断を延べ4人以上実施することが必要です。
キャリアアップ助成金の活用にあたっては、各コースの実施前に「キャリアアップ計画」を作成し、労働局・ハローワークに提出することが必要です。