2018年度税制改正により、2020年の確定申告から事業所得及び給与所得について変更になる控除関係のトピックスをまとめました。
また、2019年10月から変更になった最低賃金について、チェック方法や注意点を解説しています。
2018年度税制改正により、2020年の確定申告から事業所得及び給与所得について変更になる控除関係のトピックスをまとめました。
事業所得編
青色申告特別控除額及び基礎控除額が変更になります。
改正1
青色申告特別控除額が現行65万円→55万円
基礎控除額が現行38万円→48万円に変更になります。
改正2
改正後の55万円の青色申告特別控除の適用要件に加え、電子申告又は電子帳簿保存を行うと、引き続き65万円の青色申告控除が受けられます。
幣法人で申告をしている方は、65万円の控除が受けられます。
給与所得編
給与所得控除額が一律10万円引き下げ
給与所得控除が下記のように一律10万円引き下げとなります。
また、上限額の適用される給与等の収入金額が1,000万円→850万円へ、上限額が220万円→195万円へとそれぞれ引き下げられています。
表:給与所得控除額の改正前・改正後比較表
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 | |
---|---|---|
改正前 | 改正後 | |
162万5,000円以下 | 65万円 | 55万円 |
162万5,000円超180万円以下 | その収入金額×40% | その収入金額×40%-10万円 |
180万円超360万円以下 | その収入金額×30%+18万円 | その収入金額×30%+8万円 |
360万円超660万円以下 | その収入金額×20%+54万円 | その収入金額×20%+44万円 |
660万円超850万円以下 | その収入金額×10%+120万円 | その収入金額×10%+110万円 |
850万円超1,000万円以下 | 196万円 | |
1,000万円超 | 220万円 |
基礎控除額が10万円引上げ及び所得限度額を設定
合計所得が2,400万円以下については、基礎控除額が38万円→48万円へ引き上げられました。
合計所得が2,400万円超の方につきましては、下記の表の通りです。※2,400万円超の方が年末調整にて基礎控除を受ける場合、「給与所得者の基礎控除申告書」の提出が必要となりますので、ご注意ください。
表:基礎控除額の改正前・改正後比較表
合計所得金額 | 基礎控除額 | |
---|---|---|
改正前 | 改正後 | |
2,400万円以下 | 38万円(所得制限なし) | 48万円 |
2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 | |
2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 | |
2,500万円超 | - |
各種所得控除を受けるための扶養親族等の合計所得金額の要件の見直し
下記のとおり、各種控除の合計所得金額の要件が変更になっております。
表:合計所得金額の改正前・改正後比較表
控除内容 | 改正前 | 改正後 |
---|---|---|
控除対象扶養親族 | 38万円以下 | 48万円以下 |
厳選控除対象配偶者 | 85万円以下 | 95万円以下 |
配偶者特別控除 | 38万円超123万円以下 | 48万円超133万円以下 |
勤労学生 | 65万円以下 | 75万円以下 |
住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例の創設
2019年10月1日より消費税率が8%から10%に引き上げられたことにより、個人が消費税率10%である住宅を取得し、2019年10月1日から2020年12月31日までに自己の住居の用に供した場合、一定の要件を満たせば、住宅借入金等特別控除の控除期間が延長されることとなりました。
消費税率8%適用の住宅については、特例の対象外となります。
変更点:住宅借入金等特別控除の控除期間が10年から13年に延長されます。
1年目から10年目までは、現行の制度が適用されます。11年目から13年目までは下記のように控除額が計算されます。①②のうちいずれか少ない額が控除額となります。
一般住宅の場合
①住宅借入金等の年末残高(上限4,000万円)×1%
②建物価格(上限4,000万円)の2%÷3
認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅の場合
①住宅借入金等の年末残高(上限5,000万円)×1%
②建物価格(上限5,000万円)の2%÷3
(注)
- 認定長期優良住宅:長期優良住宅等の普及の促進に関する法律に規定する認定長期優良住宅に該当する家屋で一定のもの
- 認定炭素住宅:都市の低炭素化の促進に関する法律に規定する低炭素建築物に該当する家屋若しくは同法の規定により低炭素建築物とみなされる特定建築物に該当する家屋で一定のもの
- 建物価格について:特例分は、補助金及び住宅取得等資金の贈与の額を控除しない金額を言います